中国特許調査分析|中国AIスタートアップ上位9社の知財活動とは?

  人工知能(AI)は現在、最も破壊的なテクノロジーであり、スタートアップが超成長目標を達成するための重要な手段となっている。AIは、ビッグデータ、コンピュータビジョン、自然言語処理などの多くの用途で、ビジネス、産業、人々の生活に革命をもたらしている。AIスタートアップ企業は、世界中の多くの投資家から注目を集めており、特に米国と中国での注目が顕著である。また資金力があり、将来性のあるスタートアップのうち、AI企業は、ほとんどが米国か中国出身である。

  米国と中国では、フォーカスしているAIテクノロジーが若干異なっている。米国の大手AIスタートアップは、企業向けビッグデータ分析、ビジネス・プロセスオート・メーション、自律走行、バイオテクノロジーなどの分野で大きな存在感を示している。一方、中国の大手AIスタートアップは、コンピュータビジョン、IoTおよびハードウェア向けのAI、公共の安全、金融のセキュリティ、決済などに利用される顔認識などの開発に焦点が当てられている。

  こうした新しいテクノロジーの開発において知財を意識することは、スタートアップのさらなる成長や、短期間での目標達成に不可欠である。また資金調達やM&Aの際には、スタートアップが開発している技術情報や経営情報だけでなく、保有している知的財産(特許に関する情報)も大いに参照される。本記事では、DISFOLDによる「資金調達額に基づくAIスタートアップTOP30(2020年)」にランクインしている中国スタートアップ9社について多角度から特許調査を行い、特許調査結果データをさまざまな軸で分析してグラフにまとめた。

  なお、今回の特許調査分析の対象となっている技術は、AIに関連付けられているものであり、機械学習アルゴリズムを使用してビッグデータを処理する技術である。具体的には、動画、画像、視覚データのパターンの認識、AIアルゴリズムのパフォーマンスの最適化、大量のテキストデータの処理と分析情報の抽出、新しいテキストの生成、遺伝子データの分析、ロボットの製造などが挙げあられる。

  AIを構成するテクノロジーについては下図も参照されたい。今回の分析では、これらのテクノロジーが対象となっている。 

AI 技術

もくじ

1. 中国AIスタートアップ上位9社

2. 9社の特許出願状況

3. 9社の特許出願推移

4. 出願企業順位

5. 技術分野

6. 企業別の特許登録率

7. まとめ 

1.  中国AIスタートアップ上位9社

  資金調達額に基づく世界のAIスタートアップTOP30(2020年)を以下にまとめた。中国AIスタートアップには「★中国企業名」を付記した。設立年では、2011年に、旷视科技、2012年に、云知声智能科技、出门问问、2014年に、商汤科技、明略科技、第四范式、2015年に、地平线机器人、云从科技、特斯联科技となっている。

AIスタートアップ  中国

2.  9社の特許出願状況

  各社の特許出願件数、特許登録件数、実用新案件数、意匠件数を以下の表にまとめた。

※なお、特許データの抽出にあたり、中国特許庁データベース(CNIPA)で特許検索項目「出願人」に9社の企業名を指定して検索を行った。 

中国AIスタートアップ

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3.  9社の特許出願推移

  2012年~2021年の10年間のデータを以下に示す。このグラフでは、上記表の「特許出願件数」のデータを使用した(実用新案と意匠の件数は含まない)。

※2021年はまだデータが出そろっていないため件数が少なくなっている。

  2020年までは右肩上がりに増加していることがわかる。なお、各スタートアップの設立年が異なることから、参考までにグラフの年の下に当時設立された企業を付記した。 

中国AIスタートアップ

4.出願企業順位

  以下のグラフで、特許出願件数に基づいて9社を順位付けした。

※CNIPAでデータを抽出する際に、特許検索項目「出願人」に各社の関連会社や、共同出願を行った他の企業や機関も含むように検索している。一部のデータには重複が存在する。また企業名の名寄せ(1つの企業が別名義で出願した場合に出願人名が異なることがあり、それを統一すること)は行っていない。 

中国スタートアップ  AI 上位

   同様に以下のグラフで、特許登録件数に基づいて9社を順位付けした。

中国スタートアップ  AI 上位

5.技術分野

  以下のグラフで、特許出願件数を技術分野ごとに分類して順位付けした。技術分野をみると、文字認識、パターン認識、音声認識が大半を占めていることがわかる。そのあとに、ニューラルネットワーク、通信制御、機械学習が続いている。

※このグラフでは、出願されて公開されたが登録になっていない特許を対象とする。
※技術分野の区分は、国際特許分類(International Patent Classification、IPC)に基づく。IPCは、国際的に統一されて用いられている特許文献の技術内容による分類である。特許が出願される際に中国特許庁により付与される。 

中国スタートアップ  AI 上位技術

  次に以下のグラフで、特許登録件数を技術分野ごとに分類して順位付けした。おおむね、上記の特許出願技術分野のグラフと同様の傾向がみられる。

※このグラフでは、出願されて公開された特許のうち登録に至った特許を対象とする。 

中国スタートアップ  AI 上位技術

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  各技術分野のうち上位3位の技術分野対応する特許のうち代表的なものを以下に紹介する。発明の目的として記載されているものとしては、セキュリティ(身元認証、犯罪防止、自然災害からの保護など多義にわたる)に関するものが多い印象である。

印刷・手書き文字認識、パターン認識
顔画像認識のために動的比較閾値を使用して身元認証を行う(CN111898495B)
都市コミュニティで危険対象物を検出して監視して安全を保障する(CN111695511B)
画像フレームのエッジ計算を行い森林火災報知に役立てる(CN110660187B)

画像の前処理>電子的手段を用いる文字・パターン認識
画像クラスタリングのためのアルゴリズムを工夫して顔の誤認識を防ぐ(CN111814923B)
画像セマンティック認識アルゴリズムによりオブジェクトの環境を考慮する(CN111144510B)
ごみ処理における廃棄物特定に深層学習認識を活用して環境保護を図る(CN110991479B)

生物学的モデルに基づくNNモデル>アーキテクチャ
深層ニューラルネットワークの小規模なネットワークでの性能向上(CN109919300B)
ニューラルネットワークモデルのマッチング正規化を自律的に学習する(CN109886392B)
ニューラルネットワークの構造自動探索を改善する(CN109598332B) 

6.  企業別の特許登録率

  以下に、企業別の特許登録率のグラフと、出願されて公開されたが登録になっていない特許(公開特許)と、出願されて公開された特許のうち登録に至った特許(登録特許)の対比がわかるグラフをそれぞれ示す。

  AIスタートアップTOP30リスト内の順位と比較しやすいように、企業名の横にかっこ書きでTOP30リスト内の順位を記載した。18位であった特斯联科技の登録率が42%であり、9社のなかでは出願数が922件と、他社と比べて少ないものの登録率は突出していることが特徴的である。反対に、明略科技においては、出願件数が1,557件あるものの登録率はわずか1%である。

※10年弱のデータであり、かつその中での企業の設立年も異なることから、あまり公平なデータとは言えないが、何かしらの参考となれば幸いである。 

中国スタートアップ  AI 特許
中国スタートアップ  AI 特許

7.まとめ

  上記に紹介した情報は全体のデータのごく一部ですが、中国AIスタートアップの知財活動をさまざまな側面から知ることができました。したがって、このように企業の特許分析を行うことはとても重要です。特許技術分野や企業の分析において、特徴的な動向は別の機会に実施できればと思います。

  IPOMOEAでは、特許調査・分析サービスを提供しています。本記事の特許調査・分析において、さらに詳しいデータが必要な場合、別のテーマでの特許調査・分析を実施したい場合はお気軽にお問合せください。

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