中国量子技術主要プレイヤー8社|
中国スタートアップ・民営企業

  6月29日に、合肥ミクロスケール物質科学国家研究センター、上海量子科学研究センター、中国科学院量子イノベーション研究所の研究者が共同で執筆した「Strong quantum computational advantage using a superconducting quantum computer」という論文が発表されました。

  論文には、66量子ビットを調整可能な結合構造で構成した中国の「祖冲之号(Zuchong)」プロセッサが、記録的な「量子覇権」を達成したことが紹介されています。「祖冲之号」は、スーパーコンピュータでは少なくとも8年かかるタスクを1.2時間で完了したとのことです。2019年にはGoogleの量子プロセッサ「Sycamore」よりも2~3桁高い計算量のサンプリングタスクを完了しています。 

祖冲之号

(出典:テンセントニュース「66个功能量子比特!潘建伟团队“祖冲之号”再展量子计算优越性」)

  本記事では、中国で量子コンピューティング技術プレイヤーとして、どのような企業、特にどのようなスタートアップが活動しているのかを紹介します。またこれらの企業の知財情報や特許出願情報も一緒に紹介します。

もくじ

1. 中国量子技術プレイヤーである主要スタートアップ企業と民営企業

2. 中国量子コンピューティング企業8社の紹介と特許出願状況

3. 中国量子コンピューティング技術の将来

4. まとめ

1.  中国量子技術プレイヤーである主要スタートアップ企業と民営企業


  最近の世界ニュースにおいて特に注目されていた企業12社を以下に列挙します(選択した企業と列挙順は無作為です)。なお、Huawei、Baidu、Tencent、ZTEに関してはこのリストでの紹介にとどめています。特に知財情報の調査に関しては、特許出願数が膨大であることから、量子技術だけを対象にした調査は今回の記事では割愛させていただきました。次の機会にまた紹介したいと思います。

企業リスト12社

1)玻色量子科技 Bose Quantum
2)深圳昆峰量子科技有限公司 Kunfeng Quantum Technology
3)合肥本源量子计算科技有限责任公司 Origin Quantum Computing
4)安徽问天量子科技 Qasky
5)国开启科量子技术(北京)有限公司 Qike Quantum
6)科大国盾量子技术股份有限公司 QuantumCTek
7)深圳量旋科技有限公司 SpinQ
8)国仪量子(合肥)技术有限公司 CIQTEK
9)华为技术有限公司 Huawei
10)百度公司 Baidu Search
11)腾讯量子实验室 Tencent Quantum Lab
12)中兴通讯股份有限公司 ZTE Corporation

祖冲之号 筐体

(出典:百度「祖冲之号」)

お問い合わせはこちら

2. 中国量子コンピューティング企業8社の紹介と特許出願状況

1)玻色量子科技 Bose Quantum

  玻色量子は、2020年11月に設立され、中国の北京に拠点を置いています。コヒーレント・イジング・マシーン(CIM)技術をベースにした量子ソリューションを開発しています。設立チームには、スタンフォード大学、清華大学、中国科学院などの有名な機関の出身者が含まれています。

  玻色量子からは6件の特許が出願されており、そのうち1件が登録されています。この登録特許について以下に簡単に紹介します。

CN113029183B(2021-05-26出願、2021-08-27登録)
「一种导航路径规划方法及装置(ナビゲーション経路計画方法および装置)」
Google Patent(中国語全文):https://patents.google.com/patent/CN113029183B/zh?oq=CN113029183B

  車載ナビゲーションシステムにおいて、ドライバーが入力した目的地情報までの各経路に関する車両密度を計算します。次にアニーリングアルゴリズムを使用して、この車両密度のエントロピーを最適化することで、ドライバーにとって最適なルートを計画する。その結果、より渋滞の少ないルートを提案することが可能になる。


2)深圳昆峰量子科技有限公司 Kunfeng Quantum Technology

  深圳昆峰量子科技は、2018年に設立されて上海に位置している、量子技術の開発と応用に特化した企業です。同社のチームには、技術業界とビジネスにおけるベテランが在籍しており、専門的なエンジニアリング能力と科学研究能力を組み合わせて、量子技術の設計、開発、アプリケーションの探求をサポートし、促進しています。

  深圳昆峰量子科技からの特許出願はありません。


3)合肥本源量子计算科技有限责任公司 Origin Quantum Computing

  合肥本源量子计算科技は、中国科学院の量子情報研究所の博士チームによって、2017年9月に中国の合肥で設立されました。量子コンピュータの開発と応用を主な事業とする中国初のスタートアップ企業であり、中国初の量子コンピュータ制御システムを間もなくリリースすること発表しています。また、量子ソフトウェア開発キット「Qpanda 2.0」をGitHubで公開しており、これを使うと量子回路の作成や各種量子コンピュータでの実験を行うことができます。同社は、完全な量子コンピュータや、量子シミュレータと量子ハードウェアチップの両方に対応した量子クラウドサービスのプラットフォームも開発しています。

  合肥本源量子计算科技からは258件の特許が出願されており、そのうち4件が登録されています。最近登録された1件を以下に簡単に紹介します。

CN110097014B(2019-05-08出願、2021-05-07登録)
「一种基于测量轨迹的量子比特读取信号处理方法(測定軌跡に基づく量子ビット読み出し信号処理法)」
Google Patent(中国語全文):https://patents.google.com/patent/CN110097014B/zh?oq=CN110097014B

  量子ビットの測定軌跡上の各点に含まれる情報量を最大限に活用し、その情報量を用いて重みを算出し、重み付け平均化処理を行います。重みによって有効な量子状態情報を拡張することで測定データの誤差が抑制されるため、量子ビットの測定信号に対するノイズの影響を抑制し、量子状態の識別精度を向上させるという効果が得られる。

4)安徽问天量子科技 Qasky

  安徽问天量子科技は、中国科学院の量子暗号研究を商業化するために、2016年に中国安徽省蕪湖市で設立されました。量子暗号通信端末機器、ネットワークスイッチング/ルーティング機器、コア光電子機器・モジュール、開封実験システム、科学機器、ネットワークセキュリティ制御・アプリケーションソフトウェアなど、量子情報セキュリティシステムの統合ソリューションを含む製品・サービスを提供しています。

合肥本源量子计算科技からは229件の特許が出願されており、そのうち29件が登録されています。最近登録された1件を以下に簡単に紹介します。

CN112039602B(2020-09-01出願、2021-08-13登録)
「一种qkd死时间防御措施的检测装置及方法(QKDデッドタイム防御対策の検出装置および方法)」
Google Patent(中国語全文):https://patents.google.com/patent/CN112039602B/zh?oq=CN112039602B

  量子鍵配送技術を搭載した検出装置において、光量調整可能な光源を入力することで、検出装置のフロントエンドで被測定機器によるデータの改ざんの可能性を排除する(検出装置の光源モジュールの光量が調整されると、それに応じてテスト中のQKD装置の検出数が変化する)。

量子コンピューティング

お問い合わせはこちら

5)国开启科量子技术(北京)有限公司 Qike Quantum

  国开启科量子技术は、2018年に設立され、北京に位置しています。量子通信機器の製造と量子コンピュータのフルスタック開発に注力しています。豊富な製品開発経験を持ち、量子通信、量子計算、量子検出の分野で独立したコア技術と包括的な製品開発能力を持つハイテク企業であり、数多くの国家標準や業界標準の策定作業を行ってきました。

  国开启科量子技术からは63件の特許が出願されており、そのうち12件が登録されています。最近登録された1件を以下に簡単に紹介します。

CN113114356B(2021-06-15出願、2021-08-13登録)
「用于检测量子通信系统的方法和装置(量子通信システムを検出するための方法および装置)」
Google Patent(中国語全文):https://patents.google.com/patent/CN113114356B/zh?oq=CN113114356B

  不等アーム干渉計の2つのアーム間の順方向コントラストおよび/または逆方向コントラストをそれぞれ導出して、不等アーム干渉計を用いて符号化および/または復号化を行う。これにより、不等アーム干渉計の干渉の悪化により量子通信システムのエラーレートが増加するという問題を防止することができる。


6)科大国盾量子技术股份有限公司 QuantumCTek

  科大国盾量子技术は、2016年に合肥国家物理学研究所(HFNL)と中国科学技術大学(USTC)の中国を代表する量子物理学研究グループによって設立され、合肥に位置しています。中国で初めて量子技術をベースにしたマルチプロトコルのネットワークセキュリティ製品とサービスを提供した企業です。同社は、最先端の量子通信システムと光電子ユニットを製造しており、金融業界、政府機関などの企業向けの商用アプリケーション、および科学学会向けの研究アプリケーションを提供しています。製品としては、量子暗号、量子ゲートウェイ、光スイッチ製品などがあります。

  科大国盾量子技术からは305件の特許が出願されており、そのうち49件が登録されています。最近登録された1件を以下に簡単に紹介します。

CN111106932B(2018-10-26出願、2021-07-09登録)
「基于直波导调制器的偏振控制系统、方法及量子密钥分发系统(直線状導波路型変調器を用いた偏波制御システム、方法、および量子鍵配送システム)」
Google Patent(中国語全文):https://patents.google.com/patent/CN111106932B/zh?oq=CN111106932B

  2つの電気光学結晶を用いて信号光を順次位相変調する。一方の電気光学結晶ではo光およびe光として伝搬する信号光の水平偏光成分および垂直偏光成分が、他方においてe光およびo光として伝搬する。電気光学結晶の両方における変調電界が、対応する電気光学結晶のo光またはe光の偏光方向に平行であり、かつ同じ大きさである。対応する電気光学結晶のo光またはe光の偏光方向がある直線に対して互いに反対方向にあり、電界変調を制御することで最終信号光の偏光状態を容易に制御することができる。


7)深圳量旋科技有限公司 SpinQ

  深圳量旋科技は、2018年に設立され、中国の深圳に拠点を置いています。量子コンピューティングの産業化を目指し、実用的な量子コンピュータの開発と量子コンピューティングソリューションを提供しています。深圳量旋科技は、世界初のデスクトップNMR量子コンピュータ「Gemini」と、量子コンピューティングクラウドプラットフォーム「Taurus」をリリースしており、実際の物理的な量子コンピュータにオープンで基本的な物理的制御方法を直接提供し、安定して使いやすい量子コンピューティングプラットフォームをユーザーに提供しています。

  科大国盾量子技术からは11件の特許が出願されており、そのうち2件が登録されています。最近登録された1件を以下に簡単に紹介します。

CN111915013B(2020-07-31出願、2021-07-16登録)
「核磁共振同核三比特赝纯态制备方法及系统(核磁気共鳴等核3ビット擬純粋状態の調製方法およびシステム)」
Google Patent(中国語全文):https://patents.google.com/patent/CN111915013B/zh?oq=CN111915013B

  本発明では、ゼロ次コヒーレント項の生成が最小化され、ゼロ次コヒーレンス項の半分にすることができる。勾配場の前に大きなゼロ次コヒーレント項を非ゼロ次コヒーレント項に変換する。適切な近似において、勾配場は擬純粋状態を除く核磁気量子状態のすべてのコヒーレント項を除去することができる。


8)国仪量子(合肥)技术有限公司 CIQTEK

  国仪量子(合肥)技术は、2016年に合肥国家ハイテク産業開発区に設立されました。最先端の量子センサー、分析とテストのための高度な機器と装置、産業アプリケーションを実現するための技術的ソリューションを開発しており、その顧客基盤は民間企業、政府、研究機関のグローバルネットワークを含みます。国仪量子(合肥)技术の装置は、量子計算、生物学、医学、食品の安全性、化学や材料科学の分野における成果向上に寄与します。

  科大国盾量子技术からは18件の特許が出願されており、そのうち1件が登録されています。最近登録された1件を以下に簡単に紹介します。

CN110873851B(2018-08-31出願、2021-08-20登録)
「磁场测量系统和磁场测量方法(磁界測定システムおよび磁界測定方法)」
Google Patent全文(中国語):https://patents.google.com/patent/CN110873851B/zh?oq=CN110873851B

  磁界測定装置と磁界変調装置から構成され、磁界測定装置は、測定対象の静磁界の大きさを測定するために使用される。磁界変調装置は軟磁性体で構成されており、この軟磁性体は、測定対象の静磁界に平行であり、磁界測定装置に対して回転し、測定される静磁界を交流磁界に変調させる。静磁界を高周波の交番磁界に変換して測定することで、測定の感度と精度を高めることができる。

量子技術

お問い合わせはこちら

3. 中国量子コンピューティング技術の将来

  新安晚报安徽网の記事によると、上記に紹介した合肥本源量子计算科技は、今後5年間の量子コンピューティング技術計画ロードマップを発表したとのことです。そこで、2025年までに1,000量子ビットを突破して1,024量子ビットに到達し、量子コンピューティングを用いてさまざまな産業分野で対応する問題の解決を試み、産業分野向けの特別な量子コンピュータを開発すると述べました。1,000ビット以上の量子コンピュータは、汎用の量子コンピュータの拡大のための重要なステップであり、量子コンピュータ技術の将来のためにも強固な基盤を築きました。同社によると、汎用量子コンピュータを実現するための最大の課題の一つは、誤り訂正と耐障害性の問題を解決することであるが、これらが解決されてブレイクスルーが実現すれば、汎用の量子コンピュータが実現する日は近いとのことです。



(参考記事)
https://quantumcomputingreport.com/
https://thequantumdaily.com/2021/04/20/9-companies-leading-the-quantum-technologies-race-in-china/
https://new.qq.com/omn/20210703/20210703A06G0J00.html
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1710593663996196235&wfr=spider&for=pc 

4. まとめ

  IPOMOEAでは、より詳細な情報をお届けできます。中国スタートアップやユニコーンの最新技術についてお知りになりたい場合は、お気軽にご相談ください。

  詳しくはこちら 

特許調査レポートのサンプルをご紹介

今すぐ無料で問い合わせる

報告書作成例は可能な範囲でご提示させて頂きますので、お気軽にお問い合せください。

特許翻訳・技術翻訳IPOMOEA Co.,Ltd.

  • Copyright © IPOMOEA Co., Ltd. All Rights Reserved.

Contact Us

  • 株式会社 IPOMOEA
    〒 924-0878
    石川県白山市末広1-156 (306)

  • 076-220-7091

  • 【受付時間】平日 10:00~18:00

Site Map