中国5Gスマート医療に関して深圳大学から出願されている特許の調査

  深圳大学付属華南病院がチャイナモバイルと提携し、国家5Gスマートホスピタルを構築するというニュースが8月20日の中国のニュースサイトに掲載されました。深圳大学は2020年の国際特許出願数に関して、中国国内の教育機関別ランキングで第1位を獲得した大学です。また5G技術やハイテク医療設備は、2025製造リストに掲載されている分野です。深圳大学はどのような知財活動を行っているのでしょうか。深圳大学の5Gスマートホスピタルに関する技術に着目し、特許出願状況を調べてみました。

もくじ

1. 深圳大学5Gスマート医療最新ニュース

2. 2020年の国際特許出願件数で上位の深圳大学

3. 深圳大学特許出願状況

4. 深圳大学5G技術関連特許

5. 中国5Gスマート医療最新情報

6. まとめ

1. 深圳大学5Gスマート医療最新ニュース


 『深大附属华南医院携手中国移动 打造国家级5G标杆医院』(要約)

  2021年8月20日、深圳大学付属華南病院と中国移動通信集団広東公司深圳支社は、スマート医療サービスを住民に提供するために、5Gアプリケーションのインターネットスマート医療プラットフォームを共同で設立する「5Gスマートホスピタル」に関する戦略的協定に合意しました。

  両者は戦略的協力協定の枠組みのもと、連携して有利な資源を統合してそれらに投資し、5G、人工知能、モノのインターネット、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、エッジコンピューティングなどの情報技術手段を駆使して、深圳大学付属華南病院の5Gスマートホスピタルの設立を共同で推進していきたいと考えています。これにより患者の医療サービス体験の向上、サービス手順の最適化、病院内の基幹システムのアップグレードなどを図るのがねらいです。

  深圳大学付属華南病院は設立以来、「地域に根ざした、デジタル化された国際的なトップレベルの研究病院を構築する」という目標を掲げ、スマートホスピタルの設立を重点目標の1つとして取り組んできました。華南病院の党委員会書記である肖向东氏は、チャイナモバイル深圳と協力して、同病院の医療サービスのインテリジェント化をさらに強化し、医療相談、医療ケア、日常の健康管理などのさまざまな面で、一般の人々の健康ニーズによりよく応えていきたいと語りました。

  チャイナモバイル深圳の総経理である周忠坤氏は、チャイナモバイルが医療クラウドとモノのインターネットという2つの主要なプラットフォームをベースに、外部のエコロジー機能を統合することで、華南病院のために優れたスマート医療シナリオを作成すると述べています。また、緊急治療、遠隔診断、インテリジェントな疾病管理、遠隔重症患者管理、健康管理などをサポートし、病院の精緻な医療技術を5Gや人工知能などの技術と効果的に組み合わせることを可能にし、グレーターベイエリアに新たなベンチマークを設定すると述べています。5Gスマートホスピタルは、グレーターベイエリアの病院の新たなベンチマークとなります。 

(参考記事)https://baijiahao.baidu.com/s?id=1708614387981987602&wfr=spider&for=pc

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2. 2020年の国際特許出願件数で上位の深圳大学


  世界知的所有権機関(WIPO)による統計の抜粋。

  世界知的所有権機関(WIPO)は3月2日、特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づく2020年のPCT国際特許出願件数に関して、国別では中国が前年比16.1%増の6万8,720件で、PCT国際特許出願件数全体に占める中国の割合が24.9%であったと発表しました。企業別では、最も出願件数が多かったのは前年に引き続き中国の華為技術(ファーウェイ)であり、件数は5,464件でした。教育機関別で出願件数が最も多かったのは、米国のカリフォルニア大学(559件)で、2位は米国のマサチューセッツ工科大学(269件)、3、4、5位はそれぞれ、中国の深圳大学(252件)、清華大学(231件)、浙江大学(209件)となりました。日本からは、東京大学が149件で10位にランクインしています。

  技術分野別の出願件数では、主要国の出願件数を技術分野別の比率でみると、米国はコンピュータ技術における出願比率が12.1%と最も高い一方、中国や韓国ではデジタルコミュニケーションの比率が最も高くなりました。日本は電気機械分野での出願比率が最も大きく、2020年のPCT国際特許出願件数のうち10.1%を占めました。 

(参考記事)https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/03/f6632bc5a961bbb0.html

スマート医療

3. 深圳大学特許出願状況

  こうした状況のなかで深圳大学からは実際にどのような特許が出願されているのでしょうか。中国国内で出願された深圳大学の特許(PCT国際出願を含む)を簡単に調査してみました。

  調査方法として、中国特許庁が運営する特許検索サイト「PSS-system」を利用し、出願人を「深圳大学」に設定して深圳大学の特許を抽出しました。調査結果の概要を以下に示します。

・特許出願状況
公開特許9,933件(出願されて登録されていない特許と登録された特許を含む件数です)
登録特許2,112件(出願されて登録された特許の件数です)

  PSS-systemの集計機能を使ってまとめた各項目に関するデータを、グラフにして以下に示します。 

深圳大学出願推移
深圳大学技術分野
深圳大学上位出願人

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4. 深圳大学5G技術関連特許

  次に深圳大学から出願されている5G技術に関する特許に絞り込んで出願状況を調べました。5G技術特許の出願状況のほか、最近登録になったもの2件の特許の内容について簡単に紹介します。

(1)5G技術に関する特許の出願状況

  5Gで想定される移動体無線通信システムにおける物理層、MAC層を中心とした無線アクセス技術に関する特許を抽出できるよう国際特許分類コードとして、H04J、H04Wを使用しました(今回はキーワードを使用せず分類コードのみを使用した簡易的な調査です)。

  これらの分類コードで、公開特許414件、登録特許111件が抽出されました。5Gの出願の技術分野を以下のグラフにまとめました。 

深圳大学5G特許技術分野


(2) 5G技術の登録特許2件の内容紹介

CN110049542B「基于MIMO系统的上行链路的数据传输方法及系统」
MIMOシステムに基づくアップリンクのデータ伝送方法およびシステム(全文はこちら
出願日2019年6月10日、登録日2020年1月10日

  本発明は、MIMOシステムに基づくアップリンクのデータ伝送方法およびシステムに関するものです。本発明のURLLCサービスでは、プリエンコード技術を使用せず、個々のユーザー端末が同じパイロット信号を使用することでパイロット周波数が汚染されるという問題を回避することができます。さらに、本発明によるデータ伝送方法およびシステムは、マルチユーザー空間多重化が強化されています。また、メッセージ検出処理の前にマルチパス分類の処理が完了しているため、各ユーザーのすべてのマルチパス信号を効率的に結合して、受信する信号対雑音比(SNR)を向上させることができます。各パスを対応するユーザーに正確に割り当てることができる場合、物理層認証を利用して、現在のタイムスロットにおける各ユーザーのチャネル状態情報(CSI)を前回のタイムスロットと比較することで、システム全体のセキュリティを向上させることができます。 

深圳大学5G特許1-1
深圳大学5G特許1-2

CN109982433B「基于启发式算法的固定帧长度的URLLC系统的资源优化方法」
ヒューリスティックアルゴリズムに基づく固定フレーム長URLLCシステムのリソース最適化方法(全文はこちら
出願日2019年3月5日、登録日2020年1月7日

  本発明は、5G NRにおけるURLLCシステムの物理層でのリソース割り当て問題を考慮した、ヒューリスティックアルゴリズムに基づく固定フレーム長のURLLCシステムのリソース最適化方法に関するものです。このURLLCシステムは、4つの短いフレーム構造を介して通信して、最大応答で高信頼性のネットワーク接続の要件を満たせるようにします。本技術では、ショートフレーム構造のリード長、送信電力、誤報確率を調整できます。本発明が対象とするリソース割り当て問題は、本質的には複数の制約条件を持つ高度な非凸最適化問題であると考えることができます。しかし、既存の技術(粒子群最適化(PSO)、シミュレーテッドアニーリングアルゴリズム、遺伝的アルゴリズムなど)は、最適化問題における過剰な制約によって非効率的な結果がもたらされます。このためプロトコルへの適用も困難です。本発明によるリソース最適化方法は、安定性とグローバルな検索能力に優れたシャッフルフロッグリーピング-極値最適化アルゴリズム(MSFLA-EO)を通じて最適化問題を解決します。この技術は、高次元の連続関数の最適化に利用することができます。 

深圳大学5G特許2-1
深圳大学5G特許2-2

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5. 中国5Gスマート医療最新情報

  深圳大学の5Gスマートホスピタルに向けたチャイナモバイルとの連携と、特許出願状況について上記にまとめましたが、現在中国では5Gスマート医療発展に向けた取り組みをどのように進めているのでしょうか。

  8月17日、中国工業情報化部は、「5G+医療・ヘルスケア用途のパイロットプロジェクトリスト」を発表しました。リストでは、下図のようにグループごとにプロジェクトとその主導機関が定められています。リスト全文はこちらをご覧ください。

  COVID-19感染症が依然として深刻な状況において、5Gスマート医療が昼夜に渡る病院のオペレーションを支えることが期待されています。今回紹介した深圳大学華南病院とチャイナモバイルだけでなく、上記リストに掲載されているような各プラットフォーマーの活躍にも注目が集まっています。 

6. まとめ

  IPOMOEAでは、より詳細な情報をお届けできるほか、各種ニーズに応じた中国特許調査サービスをご提供できます。お気軽にご相談ください。

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