中国への特許出願│中国の「専利法」とは│株式会社IPOMOEA

もくじ

1. 日本企業の中国への特許出願の現状

2. 中国への特許出願の流れ

3. 日本の特許法との違い

4. まとめ〜英語及び中国語での知財翻訳に強いIPOMOEAだから提案できること〜 

1. 日本企業の中国への特許出願の現状

 2010年の国内総生産GDPで日本を抜き、米国に次いで世界2位になった中国。それに伴い、中国に関する特許出願数が脅威的に伸びています。
 実際、2019年のPCT国際出願数は、中国企業による出願が世界一位となっています。

 また、経済大国中国への出願も、急速に伸びています。2018年の情報ですが、中国特許庁への出願は、1,542,002件であり、2位のUSPTOの597,141件と大差をつけての世界一となっています。 

中国への出願数比較

中国特許庁への出願数を100とした場合

中国特許庁への出願数                                     

%

USPTO

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 そんな中国への出願の中で、内国である中国国籍に次いで出願数が多いのが、日本企業です(2018年の情報)。

 この記事では、日本企業が中国へ特許出願する際に役立つ情報を、できるだけ多く紹介します。なお、以下に登場する「専利法」は、中国における「特許法」です。 

2. 中国への特許出願の流れ

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 中国への特許出願の流れを、以下に簡略的に説明します。 

中国専利法フロー

 (1)出願
 中国は、パリ条約及び特許協力条約(PCT)に加盟しているので、パリルート及びPCTルートの何れのルートでも、優先権を主張して出願することができます。パリルート及び PCTルートについてはこちら。

(1−1)出願言語
 中国への出願は、全ての書類を中国語で提出しなければいけません(専利法実施細則第3条・39条)。外国語出願制度はありません。つまり、パリ条約に基づく優先権を主張する際、又はPCT出願からの中国への各国移行の際には、基礎出願の明細書等を中国語に翻訳する必要があります。

(1−2)中国で完成された発明は、第一国出願を中国にしなければならない
 専利法では、中国で完成された発明は、第一国出願を中国にしなければならないというルールがあります(専利法第19条及び第20条、専利法実施細則第8条)。
 例えば、出願人が日本法人であっても、発明者が中国国内の関連企業の社員で、中国国内で完成された職務発明等を出願する場合は、注意が必要です。

(1−3)マルチクレームの取り扱い
 中国では、マルチクレームは許されますが、マルチのマルチクレームは基本的には許されていません。例外的に、独立項介在型のマルチマルチクレームは許されます。

 以下に、簡単な例を説明します。

 請求項1  ●●を具備することを特徴とする装置。
 請求項2  ▲が◆又は■であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
 請求項3  ▲が◆であることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。

 請求項4A ●●が★であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の装置。
 請求項4B 請求項1から3の何れか1項に記載の装置を用いることを特徴とする製造方法。

 上記で、請求項4Aは、マルチクレームである請求項3を択一的に従属しているマルチマルチクレームなのでNGです。
 一方、請求項4Bは、請求項1〜3の「装置」とは異なるカテゴリーの「方法」に関するものであり、ある意味独立項。そのため、マルチクレームである請求項3を択一的に従属しているが、独立項介在型なのでOKです。

 (2)方式審査
 特許出願が受理されると、方式審査が行われます。パリ条約に基づく優先権を主張した出願については、方式審査において、以下の形式的要件が審査されます。
A. 翻訳文が提出されているか?
B. 願書(所定の要件を満たすもの)が提出されているか?
C. クレームを含んでいるか?
D. 要約を含んでいるか?
E. 手数料が納付されているか?
F. 発明者の指定が適法に行われているか?
G. 優先権が適法に主張されているか?
H. 適法な代理人により手続きがなされているか?

 形式的要件に不備がある場合、審査意見通知書(日本での拒絶理由通知書に対応)が出され、所定の期間内に不備を訂正するように求められます。

 (3)審査請求
 中国において実体審査をしてもらうには、日本と同様に、審査請求が必要です。審査請求期限は、出願から3年です。(優先権を主張していた場合は、優先日から3年)
 審査請求ができるのは、日本と異なり、出願人のみです。審査請求を期限内にしなかった場合、出願は取り下げられたものとみなされます(専利法第35条)。

 (4)出願公開
 出願日(優先権主張を伴う場合は優先日)から18箇月経過後に、出願公開がなされます(専利法第34条)
 早期公開を請求することもできます。専利法第68条2項では、日本の補償金請求権に類似した事項が規定されています。具体的には、発明専利出願の公開後、専利権付与前までに当該発明を使用しながら適切な専利使用料を支払っていない場合、専利権者が実施料の支払を求める訴訟の時効を2年とし、専利権者が第三者がその発明を使用していることを知った日又は当然知り得たと考えられる日から起算する旨が規定されています。ただし、専利権者がその実施を専利権付与日の前に既に知った場合は、前述訴訟の時効を専利権付与日から起算する旨も規定されています。

 (5)実体審査
 審査請求がなされた案件について、実体審査が行われます。
 実体審査では、出願が特許要件を満たしているかが審査されます。審査される特許要件は主に以下の通りです。
・記載要件(サポート要件、明確性要件(専利法第26条第4項);実施可能要件(専利法第26条第3項);必要な技術的特徴(実施細則20条第2項)※後述します)
・新規性(専利法第22条)※後述します
・創造性(進歩性)(専利法第22条)
・実用性(専利法第22条)
・単一性(専利法第31条第1項)

 (5−1)自発補正の機会
 出願人は、実体審査に入る旨の通知を受けた日から3箇月以内に、特許出願を自発的に補正することができます。

 中国では、審査意見通知書を受けた後は、通知書にて指摘された欠陥(新規性なし、進歩性なし、記載不備等)を是正する補正しか許されません。そのため、中国において例えば明細書にしか記載されていない発明をクレームアップするためには、実体審査に入る旨の通知を受けた日から3箇月以内に自発補正をする必要があります。

(5−2)審査意見通知書
 実体審査において拒絶理由が見つかった場合、審査意見通知書が発送されます。

 出願人は、最初の審査意見通知書に対しては、その発送日から4箇月以内に応答する必要があります。2回目以降の審査意見通知書に対しては、その発送日から2箇月以内に応答する必要があります。出願人は、手数料を支払うことにより、その期限を1箇月又は2箇月延長することができます(1箇月を2回、という延長はできません)。

 (6)特許査定
 実体審査で拒絶理由通知が見つからなかった場合、又は出願人の応答によって拒絶理由が解消された場合には、特許査定となります。

 (7)拒絶査定
 出願人の応答によっても拒絶理由が解消されない場合、2回目以降も審査意見通知書が出されますが、審査官が、特許査定とできないだろうとの心証を抱くと、拒絶査定が出されます。2回目の審査意見通知書が出されずに拒絶査定となる場合もあります。

 拒絶査定に対して不服がある場合、出願人は、不服審判を請求することができます(復審請求)。復審請求の際、補正をすることができます。

3.日本の特許法との違い

  中国の専利法は、日本の特許法と異なる点がいくつかあります。注意すべき相違点を以下に紹介します。

(1)抵触出願
 日本では、先の出願と先の出願の公開前に出願された後の出願とがあり、これらが同じ出願人である場合には、後の出願は、先の出願の存在によって特許法第29条の2に基づく拒絶理由を受けることはありません。

 一方、中国専利法では、第22条にて新規性が、以下のように規定されています。
 専利法第22条
 特許権を付与する発明及び実用新型は、新規性、創造性及び実用性を有しなければならない。新規性とは、その発明又は実用新型が現有技術に該当せず、かつ、いかなる機関又は組織又は個人により出願日前に国務院特許行政部門に出願されて出願日後に公開された特許出願書類又は公告された特許書類には、同一の発明又は実用新型が記載されていないことをいう。

 第22条の後段では、日本でいう「拡大先願の地位」について規定されていますが、「いかなる機関又は組織又は個人により出願日前に国務院特許行政部門に出願されて出願日後に公開された特許出願書類又は公告された特許書類」とされており、日本のように同一出願人の未公開の先願であっても、後願を排除し得る出願となります(抵触出願)。これは、欧州でいうセルフコリジョンに対応します。

 そのため、関連出願を行う際には、先願との関係を十分に把握する必要があります。

(2)必要な技術的特徴
 専利法実施細則20条第2項では、独立請求項の全てに、技術課題を解決するのに必要な技術的特徴が記載されていなければならない(概略)、と規定されています。

 この規定は日本特許法にはないので、注意が必要です。

 例えば、実施例において、独立項に記載していない事項が課題を解決できるか否かに大きく関わっていることが明らかである場合、審査官は、その事項を「課題を解決するのに必要な技術的特徴」であると指摘する可能性があります。

(3)補正
 中国では、当初明細書等に明示的に記載がされた事項でないと、新規事項の追加と判断される恐れがあります。

 例えば、
 クレーム1 :成分A: 20〜40質量%
 実施例   :成分A:20、25、34、35、40質量%
 引例    :成分A:24、28質量%
である場合、日本では、実施例に基づき、成分A: 34〜40質量%に限定し、引例との相違点であることを主張することができます。
 しかしながら、中国では、実施例に基づく、成分A: 34〜40質量%に限定するような補正は、当初明細書等に明示的に記載された事項でないとして、補正が許されない可能性があります。

 また、先に少し紹介しましたが、実体審査に入る旨の通知を受けた日から3箇月以内の時期を過ぎると、明細書にのみ記載された発明をクレームアップする補正は許されない可能性が高いです(審査官に指摘された拒絶理由を解消するための補正ならばOKです)。
 従って、上記期間の間に、必要な補正を検討すべきです。

(4)分割出願
 中国でも、分割出願をすることができます。専利法実施細則第42条、第54条では、分割出願を規定しており、その時期として、
1.出願係属中および出願人が特許査定通知を受領した日から2月(すなわち登録手続きの期限)の期間が満了するまで
2.拒絶査定通知を受領した日から3か月以内
と規定されています。

 なお、親出願から子出願を分割出願し、この子出願からさらに孫出願をさらに分割出願する場合、親出願の時期的要件が上記1、2を満たさなければ、子出願が上記時期的要件1、2を満たしていても、分割出願は認められません(ただし、子出願に単一性の拒絶理由があり、それを解消するための再度の分割出願する場合は例外となります)。
 つまり、親出願が分割可能な時期でなければ、孫出願はできないこととなります。そのため、孫出願の可能性がある場合には、親出願を係属中にしておく必要があります。 

4.まとめ〜英語及び中国語での知財翻訳に強いIPOMOEAだから提案できること〜

 日本企業は、重要案件については、米国及び中国の両方に出願するケースが多いと思います。

 英語及び中国語での知財翻訳に強いIPOMOEAでは、基礎出願の出願書類についての英語翻訳文及び中国語翻訳文の両方を提供することができます。これにより、英語及び中国語への翻訳精度のばらつきを低減することができます。

 また、中国出願での審査意見通知書の日本語及び英語の翻訳文の同時提供をすることもできます。USPTOへの迅速かつ正確なIDS提出の一助となれると幸いです。

 詳しくは、こちら。 

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