中国特許金賞からわかる深圳企業の活躍|株式会社IPOMOEA

  2021年5月10日に、中国国家知識産権局によって第22回中国特許賞の評審結果が公表されました。中国特許賞は1989年に設立され、中国国家知識産権局と世界知的所有権機関(WIPO)が共催する中国知財最高賞とされています。この受賞リストから深圳企業の活躍にせまってみたいと思います。

もくじ

1. 第22回中国特許賞

2. 深圳企業の知財活動

3. 中国特許金賞での深圳企業の活躍と受賞特許

4. 深圳における政府主導のプラットフォーム構築

5. まとめ

1. 第22回中国特許賞


  中国特許賞とは、中国国家知識産権局とWIPOが共同で主催する、中国における発明創造に奨励を与える専門的な賞です。『中国特許賞評価規則』の規定に基づいて、国務院の関連部門の知的財産管理機関、地方の知識産権局、全国の関連業界団体、中国科学院と中国工程院の学者による推薦、中国特許賞審査委員会の評価、公示を経て、受賞特許が決定されます。

  第22回中国特許賞では、「中国特許金賞」に特許出願と実用新案30件、「中国意匠金賞」には意匠出願10件が選ばれました。また、「中国特許金賞」には特許出願60件、「中国意匠銀賞」には意匠出願15件が選ばれました。そして「中国特許優秀賞」には特許出願と実用新案825件、「中国意匠優秀賞」には、意匠出願56件が選ばれました。さらに、江蘇省知識産権局を含む8団体が「中国特許最優秀組織賞」に、上海知識産権局を含む20団体が「中国特許優秀組織賞」に選ばれ、楊威氏などの15名の学者に中国特許最優秀推薦賞が授与されました。

  中国特許金賞30件のリストについては、『第二十二届中国专利金奖项目名单.pdf』、中国意匠金賞10件のリストについては、『第二十二届中国外观设计金奖项目名单.pdf』をご覧ください。


(参考記事)http://www.cnipa.gov.cn/art/2021/6/25/art_394_160304.html 

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2. 深圳企業の知財活動


  深圳のスタートアップ企業の知財活動を以前にいくつか紹介しましたが、中国特許金賞では深圳の企業がどれくらいランクインしているのか調べようとしたところ、受賞企業に対するインタビューを行ったという記事(『深企捧回12.5%的中国专利金奖』)がありましたので、この記事をもとに深圳企業による知財活動をご紹介したいと思います。

  今年の受賞者リストには深圳から5社の企業がラインクインしました。これらの5社はそれぞれ中国特許金賞4件、中国意匠金賞1件を受賞しており、この件数は全国の12.5%を占めています。知的財産権は深圳のコア競争力であり、この結果は明るい見通しを表しています。

  深圳で行われている知財活動について、JETROの記事とグラフを以下に引用します。

「中国のシリコンバレーと呼ばれて久しい深圳。これまでにも「多産多死」のスタートアップ・エコシステムの中から多くのユニコーン企業や巨大IT企業を生み出してきた。その発展に伴い、特許出願をはじめとする知的財産活動も非常に活発だ。」(下図参照)

図:深セン市出願人の専利(特許・実用新案・意匠に相当)および発明専利(特許に相当)の出願件数と権利取得件数、PCT特許出願件数の推移〔2012年-2020年(1月-11月)〕 


(参考記事)
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2021/4f557bdaaa55eada.html

3.中国特許金賞での深圳企業の活躍と受賞特許


  上記のような深圳の知財活動の成果において、中国特許賞受賞企業5社の知的財産活動は、どのような卓越性を備えているのでしょうか?

  『深企捧回12.5%的中国专利金奖』からの抜粋(翻訳)に、受賞した特許の説明を織り交ぜて以下に紹介いたします。


(参考記事)https://new.qq.com/omn/20210719/20210719A02PQE00.html 

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1)ZTEの受賞特許

  ZTEにとって、イノベーションはビジネス発展の一番の原動力です。ZTEの展示ホールには、さまざまな最先端技術が展示されており、社内特許賞のパネルには47件の特許が掲載されています。「ZTEが中国特許金賞の栄誉に輝いたのは今回で9回目です。なんと通信業界では唯一の金賞です。」ZTEの副社長であり、知的財産部門の責任者である胡毅氏は誇らしげに語りました。

  胡毅氏は、ZTEが受賞した特許「基準信号を測定するためのシグナリングコンフィギュレーションシステムおよび方法」を紹介しました。この特許は、この分野の重要な技術的問題を解決し、チャネル測定の精度を向上させ、4Gおよび5Gシステムのピークレートとスペクトラム効率を大幅に向上させ、人々のモバイルデータレートに対する需要の高まりに効果的に対応するものです。

発明の名称:基準信号を測定するためのシグナリングコンフィギュレーションシステムおよび方法
出願番号:CN201010155563.X(2010.03.31)
公告番号:CN101827444B(2015.03.25)
日本出願登録番号:JP5548272B2(2014.07.16)
出願人:中兴通讯股份有限公司
IPC分類:H04W72/12 ;H04L1/00
内容:下図をご覧ください 

2) BYDの受賞意匠

  ZTEと同様に、BYDもイノベーションを最重要視しており、BYDのショールームには「テクノロジーは王様、イノベーションは基盤」の文字が大きく掲げられています。「独自のイノベーションは決して容易ではありませんが、企業が持続的な発展を遂げるための唯一の方法です。イノベーションが生まれてこそ、企業はコア・コンピタンスを持ち、その製品が消費者に認められます。イノベーションを起こさない企業は、重要なタイミングや分野で競合他社相手を前に立ち往生することになります」。BYDの知的財産・法務部門の副総経理である李加林氏はこのように述べました。

意匠の名称:汽车(自動車)
出願番号:CN201630332527.4(2016.07.20)
公告番号:CN303977589S(2016.12.21)
出願人:比亚迪股份有限公司
外観:下図をご覧ください 

3) 先健科技の受賞特許

  今回、金賞を受賞した特許も、長年にわたって業界で深く培われてきたイノベーションによる成果であると言えるでしょう。「これが今回中国特許金賞を受賞した当社の製品「LAmbre」です。ここまでの道のりは容易ではありませんでした。当社はこの製品の研究開発に10年以上かけ、多くの技術的な困難を乗り越えてきました。」先健科技の研究開発部副責任者である李安宁氏は、特許の成果を誇らしげに紹介しました。先健科技の董事長である谢粤辉氏は、この技術のために10年にわたって研究に取り組んできた先健科技を「業界の一匹狼」と表現しました。

  李安宁は、非弁膜症性心房細動の患者が左心耳の血栓を取り除くことで脳卒中を予防する「LAmbre左心耳閉鎖システム」を紹介しました。これは、世界初の中国独自のブランドである左心耳閉鎖システムです。また現時点で、中国と欧州連合(CE)の両方の販売許可を持っている唯一の国内ブランドです。この特許技術に基づき、開胸を必要とせず、短時間かつ低侵襲で患者にダメージをほとんど与えない手術を実現しました。

発明の名称:左心耳閉鎖システム
出願番号:CN201110146287.5(2011.06.01)
公告番号:CN102805654B(2014.04.02)
出願人:先健科技(深圳)有限公司
IPC分類:A61B17/12 ;A61B17/00
内容:下図をご覧ください 

4) 韶音科技の受賞特許

  韶音科技のショールームには、2004年~2021年に開発された骨伝導ヘッドセット製品シリーズが展示されています。韶音科技の知的財産権部責任者である万景春氏によると、従来の骨伝導スピーカーには、音質、音漏れ、消費電力、防水性などに関して技術的な問題があり、これらを解決する必要がありました。今回受賞した特許技術は、主に骨伝導スピーカーの音漏れやプライバシーなど、業界の発展を悩ませる重要な技術的問題を解決するものです。音漏れの問題を克服するために、技術スタッフは様々な方法で実験を行い、2012年~2014年はこの技術の開発にのみ集中して行いました。」と万景春氏が語りました。

発明の名称:骨伝導スピーカーの音漏れを抑える方法および骨伝導スピーカー
出願番号:CN201410005804.0(2014.01.06)
公告番号:CN103716739B(2016.11.02)
日本出願登録番号:JP6282749B2(2018.02.21)
出願人:深圳市韶音科技有限公司
IPC分類:H04R9/06 ;H04R9/02
内容:下図をご覧ください 

4)テンセントの受賞特許

  今回受賞したテンセントの特許技術は、「100万人を超える超大規模のビデオ会議をサポートする新設計のソリューション技術」です。この技術では、1回の会議に100万人が参加することができ、1つのクラスターで1,000万ユーザーの同時オンラインがサポートされます。新型コロナウィルスの影響もあり、この特許技術が搭載されたテンセントミーティングが注目を集めています。

  特許の発明者である薛笛氏は、昨年の2月と3月の最も忙しい時期には1日の睡眠時間がわずか2時間であり、数ヶ月連続で会社に寝泊まりしていました。このような状況も5月には緩和されたと、昨年新型コロナウィルスが発生したときを振り返って語っています。薛笛氏は、テンセントミーティングではユーザーの利用が急増しているにもかかわらず、ネットワークの全体的な障害が発生しておらず、サービスが非常に安定していることを喜んでいました。「自分が開発した技術が特許となって全国の人々の役に立つことは、とても嬉しいことです。」と薛笛氏は達成感をかみしめながら話していました。

発明の名称:データ送信方法、システム、および関連装置
出願番号:CN201510543206.3(2015.08.28)
公告番号:CN106488169B(2019.09.13)
日本出願登録番号:JP6389573B2(2018.09.12)
出願人:腾讯科技(深圳)有限公司
IPC分類:H04N7/14 ;H04N7/15
内容:下図をご覧ください 

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4. 深圳における政府主導のプラットフォーム構築

  近年、深圳は開発目標を高く掲げ、高い技術水準を維持し、知的財産権のベンチマーク都市を構築しています。こうした深圳にある企業の知的財産権は質の高い経済発展の促進に効果を発揮しています。深圳市市場監督管理局(知的財産局)の知的財産推進部の张学斌部長によると、深圳市は、中国でも有数で国際的にも遜色のない総合的な知的財産管理体制を構築しました。また、インテリジェントで効率的かつ協調的な知的財産権執行システム、政府から企業にプラットフォームが提供されるイノベーションエコシステム、産業チェーン全体をカバーする全方位的で包括的な知的財産サービスシステム、専門的で多様な海外知的財産権保護支援システムなども備えています。こうした制度を通じて、企業が研究開発を行い、自主的にイノベーションを生み出し、急速に成長するための良好な環境が整備されました。

  2020年の中国のビジネス環境の評価では、深圳は知的財産権の創出、保護、使用の面で国内第1位となりました。統計によると2021年1月から4月まで、深圳市は特許、実用新案、意匠の合計79,025件に対して権利付与を行っており、この件数は前年同期比31.95%増であり、全国の30.31%を占め、第1位を獲得しました。特許、実用新案、意匠の内訳として、特許が13,629件で、前年同期比64.48%増であり、全体の17.25%を占め、全国の特許登録件数の42.58%を占めました。 

5.  まとめ

  IPOMOEAでは、より詳細な情報をお届けできるほか、各種ニーズに応じた中国特許調査サービスをご提供できます。お気軽にご相談ください。

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