米国特許出願において継続性出願を活用した戦略をわかりやすく説明

 米国における「継続性出願」は、規則1.53に規定されており、「継続出願(continuation application)」及び「分割出願(divisional application)」がこれに該当します。米国のプラクティスにおいて、継続出願と分割出願とは同じ継続性出願に属しますが、使用目的が異なると言えます。この記事では、米国における継続出願及び分割出願を用いた戦略を説明します。

もくじ

1. 米国における継続性出願とは?

2. 継続出願と分割出願の違い

3. 「継続出願」を有効活用する方法

4. 分割出願でダブルパテントの拒絶を避けることができる?

5. まとめ 

1. 米国における継続性出願とは?

  米国における継続性出願とは、先の出願日を引き継ぐ出願の総称です。

 継続性出願の1つの例である一部継続出願は、先の出願に開示されていなかった事項を加えて新たに行う出願です。日本の特許法では、国内優先権を主張するためには先の出願から12ヶ月以内に出願を行う必要がありますが、米国での一部継続出願は、親出願の手続きが完了していない限りいつでも行うことができます。

 一方、継続性出願の他の例である継続出願及び分割出願は、新規事項を追加しない範囲内で行う出願です。

 日本の特許に慣れている方でも、米国における継続出願と分割出願とを混同している方は少なくありません。しかしながら、これらの出願は利用するシチュエーションも効果も異なります。以下では、継続性出願の主な例である継続出願及び分割出願の戦略的利用を説明します。 

継続出願  米国

2.継続出願と分割出願との違い

 簡単に述べると、限定要求(restriction requirement)を受けた際に選択しなかったクレームについての権利化を図るのが「分割出願」、それ以外を「継続出願」と覚えておけば問題ないと考えます。

 分割出願の場合、審査官が「別個の発明」と認定している発明を別出願として出願するため、ダブルパテントの心配がありません。この点以外は、実質上、継続出願と分割出願とは同じであると考えてもいいくらいです。 

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3.「継続出願」を有効活用する方法

 
  結論から述べると、米国における継続出願は、親出願の許可後、親出願の許可クレームとは別のクレームでの権利化を図るため、及び親出願の審査と平行して親出願に記載していた内容についての別クレームの権利化を図るのに利用することができます。

 以下、継続出願についてより詳しく説明します。

(1) 継続出願の時期的要件
 継続出願の出願時に親出願が係属している必要があります。言い換えると、親出願がUSPTOに係属している限り継続出願をすることができます。より具体的には、親出願の特許発行前または放棄前までに出願をすることがでます

 例えば、親出願に対して許可通知が出されても、特許発行料を納付して特許が発行されるまでは継続出願をすることができます。そのため、審査の段階で「allowable subject matter」と言及されたクレームがある場合、そのクレームを許可可能な形にして権利化を図ることができます。なお、特許発行料の納付の前までに継続出願を完了させておくことがより安全な方法であると考えます。

(2) 親出願
 継続出願をする際、親出願を「存続」することができます。そのため、親出願において、許可の見込みのあるクレームについて権利化を進め、それと平行して親出願の範囲内の別クレームで継続出願において権利化を図るという戦略をとることができます。なお、最終拒絶を受けたあとに、別クレームでの審査をしてもらうために継続出願をすると言う手段をとることはできます。ただし、継続出願では、特許期間調整(Patent Term Adjustment:PTA)のための留保されていた期間を喪失するというデメリットがあります。

 そのため、最終拒絶を受けた後に当然の権利としては許されない補正を要するクレームについての権利化を図る場合には、継続審査請求(RCE)※を用いる方が良いと思われます。実際に最終拒絶後に補正をして対応する場合、AFCP2.0※プログラムの申請をする対応、またはRCEをする対応のいずれかをとることが多いようです。

※RCE:出願することなく拒絶の最終状態(finality)を解消するために行われる手続です。RCEを行う際には、提出物(submission)を提出する必要があります。ここでの提出物としては、IDS、補正書、意見書、または、特許性を裏付ける新たな証拠などが挙げられます。
 最終拒絶を受けた場合、当然の権利として補正をすることはできないので、補正を行って審査を継続しようと場合はRCEの手続きを行う場合が多いです。

※AFCP2.0プログラム:最終拒絶を受けた場合に、所定の手続を行うことにより、RCEをすることなく再度のサーチ及び審査を受けることが可能となるものです。
 AFCP2.0の申請の際には、クレームを限定する補正を行うことが必要です。また、AFCP2.0では審査官の検討時間は3時間のみであり、これを超えるリサーチが必要と判断された場合、その旨を通知するアドバイザリーアクションが通知されます。
 AFCP2.0の申請費用は無料であり、高額となるRCEを行わずに許可通知となる可能性があるので、利用価値が高いプログラムです。

(3) その他
・特許を受けようとする発明について、親出願の明細書が、ベストモードの要件を除く第112条(a)の要件を満たしている必要があります。
・新規事項の追加は許されません。特許を受けようとする発明について112条(a)を満たすように明細書に追記することも許されません。新規事項を追加しなければならない場合には一部継続出願を検討する必要があります(ただし、追加した部分についての出願日は、一部継続出願の出願日となることに注意が必要です)
・継続出願は、親出願の明細書・図面のコピーを提出します。
・親出願で行った情報開示は必要ありません。ただし、親出願で行っていない開示すべき情報は、継続出願で開示する義務があります。
・親出願での補正は無効となりますので、再度行う必要があります。
・優先権書類は、援用となります。 

継続出願  米国

   

4. 分割出願でダブルパテントの拒絶を避けることができる? 

 限定要求は、1つの出願中に2以上の独立した区別可能な発明が含まれている場合に、審査官が出願人に対して発明を選択してクレームを限定するよう要求するものです。

 例えば、親出願の出願時に、グループI:クレーム1〜6、並びにグループII:クレーム7及び8があった場合、審査官は、グループIとグループIIとが区別可能な発明の群であるとして、審査を受けようとする発明の群を選択するように要求します。出願人は、反論するしないに関わらず発明を選択しなければならず、選択しなかった発明は審査の対象から外されます。

 つまり、限定要求の時点で審査官は、出願人が選択しなかった発明は出願人が選択した発明とは「別の発明」であると判断しています。したがって、選択しなかった発明について分割出願として別出願した場合でも、限定要求で反論をしなければ親出願とのダブルパテントの拒絶を受けるのを避けることができます。 

継続出願  特許

5.まとめ

 日本では、親出願の内容の一部を別出願する手段を「分割出願」と言いますが、米国では、上記の通り目的に応じて「分割出願」及び「継続出願」と区別されます(実際には大きな違いはないと言えますが)。

 継続出願は、最終拒絶を受けた後の手続きとしても利用できますが、その目的のためにはRCEを行う場合が多いのが現状です。継続出願の主な利用価値は、親出願の許可通知後に、または親出願と平行して、別クレームでの権利化を図ることにあると思われます。

 このように、日本と米国とでは、分割出願や継続出願において内容が異なる実務が存在します。IPOMOEAは、日本及び米国のそれぞれの特許事務所と密に連携をしておりますので、日本出願及び米国出願の情報を適切に提供いたします。お気軽にお問い合わせください。

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